佐賀県は19日、日本海南西部の海域活断層による地震や津波の影響について、簡易調査の結果を取りまとめた。最大津波水位の想定は、唐津市で現行より0・7メートル高い4・1メートル、到達時間は28分早い40分だった。地震動想定は、現行想定を下回った。来年度以降、詳細に調査する方針。

 今回の簡易調査では、最大津波想定の水位や到達時間が従来調査を上回る地点があった。唐津市は4・1メートル(現行3・4メートル)、到達時間40分(同68分)。伊万里市は1・9メートル(同2・2メートル)、到達時間74分(同167分)、玄海町が3・5メートル(同2・6メートル)、到達時間40分(同88分)だった。津波は3メートルを越えると予想される場合、大津波警報が発表される。

 県が2015年に公表した現行の想定では、3市町とも西山断層に起因する地震で試算していた。今回は唐津、玄海が七里ヶ曽根断層、伊万里が対馬南方沖断層に起因する地震で、津波水位が最大となった。

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 地震に関しては、県内を走る五つの断層を調査し、14年に公表していた。この調査では12市町で想定最大震度7だった。海域断層を想定した今回の調査では、唐津市の一部地域で最大震度6弱となり、全域で前回調査を下回った。

 政府は、22年3月に日本海南西部の海域活断層を公表した。既存の津波想定で使用している西山断層帯よりも距離が近い断層や、地震の規模が大きい断層が含まれていた。これを受け県は昨年11月、専門家らで構成する調査検討委員会を設置し、簡易調査を進めていた。

 県危機管理・報道局の野田嘉代子局長は「津波水位が現行の想定を超えたことで、県として詳細を調査する方向で検討している。今後の防災対策に生かしたい」と語った。

 日本海側の海域活断層を巡っては、昨年1月に能登半島地震が発生、津波などで甚大な被害が発生している。(山口貴由)