『愛されすぎたぬいぐるみたち』オークラ出版

 20年以上前に買ってもらったうさぎのぬいぐるみがある。中身の綿はくたくたになり、片手も取れてしまった。それでも、家のソファの上で今日も見守ってくれている。そんな存在が、あなたの家にもいるだろうか。

 写真家のマーク・ニクソンさんが撮影した動物のぬいぐるみの写真を集めた。持ち主の名前やエピソードも添えられている。キスされすぎてはげてしまったり、生まれたころからずっと一緒にいたり…。どの話も心が温まる。中には、持ち主が亡くなった後、娘が引き取った…といったものもある。世代を超えて愛されて、きっとぬいぐるみもうれしく思っているのではないだろうか。

 最後には、自分の愛するぬいぐるみ用のページがある。そこに写真とエピソードを書くことで、この本は真の意味で完成する。

 ぼろぼろと聞くと、マイナスなイメージを思い浮かべがちだ。しかし、掲載されているぬいぐるみたちは、たくさんの愛を受けて、とても誇らしげに見える。たくさん愛してくれる持ち主に出会えてよかったね。ほっこりしたとともに、長年わが家にいるぬいぐるみを抱きしめたくなった。

 ぼろぼろになってもそばにいてくれるぬいぐるみたちに「ありがとう」と「これからもよろしくね」。そう伝えたい。(オークラ出版/2310円)

(コンテンツ部・池田知恵)