テレビの刑事ドラマで最近、「ライバー」と呼ばれる人がいることを知った。認知度が高まってきた「ユーチューバー」との違いは動画を編集せず、生放送すること。視聴者からの「投げ銭」によって収入が得られる仕組みだ。編集技術が不要で、気軽に取り組めるのが魅力という。でも、インターネットの世界には危険も潜む◆東京の街中でライブ配信していた女性ライバーが視聴者の男に刺殺された。金銭トラブルがあったようだ。1千万人以上が暮らす東京で人捜しは難しい。容疑者はライブ配信を見て女性の居場所を捜し当てたという◆写真や動画をアップできるSNSは相手との距離感を縮める一方、思わぬところで個人情報が漏れる恐れがある。慎重に取り組んでほしい◆幸せのかたちはそれぞれでも、幸せを構成する要素の一つに「豊かな人間関係」は欠かせない。冒頭の刑事ドラマに登場した女性ライバ―も孤独感を補おうと、ネットにつながりを求めた。ただ、リアルな人間関係には我慢や配慮といったどこかで折り合う部分も必要だ。ネットの世界にはそれが欠けている気がする◆きのうの本紙ひろば欄で「友情は、人生で最も美しい財産」という言葉が目に留まった。つながるきっかけはネットをはじめ、どこにでもある。その縁を財産に変えていく過程を大切にしたい。(義)
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