2025(令和7)年度から、佐賀市でも公費による5歳児健診が始まります。

 母子保健法で決められた健診は1歳6カ月健診と3歳児健診で、その他の時期の健診には法的な規定はなく、市町村の判断で任意に行われています。以前から5歳児健診を行っている市町村もありましたが、今後は国全体で進めることになりました。

 子どもたちにとって、小学校での生活がうまくいくかどうかは将来の成長に大きく影響するので、とても大事です。もちろん小学校入学時に健診は行われますが、就学支援としての観点からは少し遅いと考えられます。準備に1年間の余裕を与えることができる5歳児健診は、その意味でとても意味があります。

 5歳児健診でも身体発育、栄養状態、歯・目・耳を含めて体の疾患のチェックも行いますが、特に重点的にチェックするのは精神発達(知的能力)、言語障害の有無、学校生活を維持するために必要な生活習慣の自立や社会性の発達(食習慣、衣服着脱、排泄や歯磨き・手洗いなどの衛生習慣、運動の習慣、睡眠の状態など)に関した事柄です。遊びが中心の幼稚園とは異なり、学校では学習が大きなウエートを占めますので、注意散漫、多動、先生や友達とのコミュニケーション力の不足、軽い知的なおくれなどがあると、学校での授業や活動になじめず学校嫌いになることがあります。

 大事なのはその子の精神・運動発達の程度や行動の特性を診断して病名を付けることではありません。周囲の人間が特性を十分に理解したうえで本人の得意なところを伸ばし、スムーズに学校生活に入っていけるように総合的に支援をすることです。

 ご家族に特性を理解してもらい、対応をしていただくことだけでうまくいくことも多いと思われますし、必要があれば特別に就学に向けての支援を行い、準備をして入学を迎えることができるようにするというのが目的です。子どもたちが楽しい学校生活をおくれるように積極的に健診を受けて、上手に利用してください。

 (佐賀整肢学園からつ医療・福祉センター顧問、佐賀大学名誉教授 浜崎雄平)