九州新幹線長崎ルート新鳥栖-武雄温泉をフル規格で整備した場合について、JR九州の牛島康博新幹線計画部長が12日、佐賀空港と連携する南回りルートならば「佐賀駅周辺から博多まで61分かかる。博多まで新幹線で行く人はいなくなる」との見解を示した。県議会の新幹線に関する特別委員会との意見交換で、JR九州として改めて「佐賀駅経由のルートしか考えられない」と強調した。
同区間を巡っては、ルートが論点の一つになっている。南回り、佐賀駅経由のどちらも整備延長は約50キロメートルだが、佐賀駅経由が佐賀-博多を20分で結ぶのに対し、南回りが筑後船小屋駅(福岡県筑後市)に接続する場合、博多駅まで26分かかる。牛島部長は「佐賀駅周辺から佐賀空港までバスで35分。その間に佐賀駅経由なら博多に着いている」とし、「博多まで新幹線で行く人はいなくなる」と指摘した。
在来線については、新幹線が開業すれば「どのルートであれ、並行在来線の問題は生じる」とした。その上で、南回りルートは新幹線と在来線で駅の需要が分散され「佐賀駅の便利な鉄道環境が失われる」との見方を示した。
普通列車は鳥栖-佐賀で1日平均約1万人、佐賀-江北で約7千人が利用しており、「県内のバスを集めても運べず、時間も倍ほどかかり、国道34号は大渋滞になる」と説明。「(新幹線開業後も)普通列車は絶対に残る。誰が経営するのかは、これからの話だが」と述べた。
県議会特別委(木原奉文委員長、12人)が福岡市のJR九州本社を視察し、意見交換した。(栗林賢)