多久市が発注した照明改修工事の入札を巡り、官製談合防止法違反の疑いで市総合政策課長(58)と、公競売入札妨害容疑で佐電工(佐賀市)の営業本部副本部長(55)が逮捕されて25日で1週間となる。2人はかねてから懇意にしていたとみられ、佐賀県警は業者側に入札情報を漏えいさせた動機や事件の背景など全容解明を進めている。
市総合政策課長の容疑者は、建設課長などを経て2021年4月から総合政策課長を務めていた。横尾俊彦市長は「仕事ぶりは熱心で積極的だった」とし、リーダーシップもあって職員から信頼を寄せられていた。
佐電工は電気工事会社では売り上げが県内トップで、自治体発注の工事も広く請け負っていた。営業本部副本部長の容疑者は「現場のたたき上げで面倒見がいい」「営業マンとして優秀だった」との評判が聞かれ、社外にも顔が広かった。
逮捕された2人は共に多久市在住で、同じ小城高の卒業生。関係者は「一緒にゴルフや食事をする親しい間柄だった」と話す。県警は2人の関係性の上に入札情報の漏えいが行われたとみて、昨年から捜査を進めていた。年明けまでには、市総合政策課長の容疑者のスマートフォンの提出が行われていたとみられる。
事件の舞台になったのは22年10月に行われたテニスコートの照明改修工事の指名競争入札。市総合政策課長の容疑者が、指名入札に参加する秘密事項の指名業者名を営業本部副本部長の容疑者に教えた疑いがある。8社による入札で、同10月25日に佐電工が1880万円で落札した。
ある自治体の職員OBによると、公務員が公共工事に関する非公表の情報を漏らすことによって業者間での話し合いの余地が生まれ、談合を助長する恐れがあると説明する。捜査関係者も業者側が他の入札参加社を事前に知ることで、何らかの働きかけができるとみている。
事件によって市政への影響も懸念される。総合政策課は市の重要施策の大半に関わっていて、市総合政策課長の容疑者は課長として議会で答弁する機会も多かった。新年度当初予算案などを審議する定例市議会の開会を3月4日に控え、横尾市長は「行政を進めるのに瑕疵(かし)がないよう、全力を尽くさなければならない」と話す。(取材班)
