一章 秀吉の憂い(15)【羽柴秀吉譚】 上様が上機嫌であるのは一見して解(わか)った。まずお褒めの言葉を頂き、褒美も何か考えねばならぬとの仰せ。儂(わし)は天にも舞い上がる心地であった。しかし、上様は一転して険しいお顔になり、「但(ただ)し、あれはもう止(よ)せ」 と、重々しく言った。