職員の逮捕を受け、会見で謝罪した横尾俊彦市長(中央)と荒瀬弘之副市長(右)、古川晋一総務課長=多久市役所

 多久市発注工事の入札情報を業者側に漏らしたとして官製談合防止法違反の疑いで市総合政策課長(58)が逮捕されたことを受け、横尾俊彦市長は19日に開いた会見で、「市民の皆さまに心配、迷惑をおかけし、心からおわびを申し上げたい」と謝罪した。

 横尾市長は「再発防止は厳正にやらないといけない」とし、信頼回復に全力を尽くす考えを示した。職員に服務規律順守を呼びかけ、「市民の疑義や不信を招くような行為を慎むように、さらに徹底したい」と強調した。容疑者については「仕事ぶりは熱心で積極的だった。尽力してくれた職員で、大変残念」と述べた。

 市によると、佐賀県警が捜査しているのを把握したのは「(逮捕日の)18日の午後」とし、事件になった入札に関して市に不正などの情報は寄せられていなかった。容疑者と業者側との関係は「分からない」という。参加業者をあらかじめ選定する指名競争入札を採用している理由については「地元業者の育成がベースにあり、工事を通して技術を磨いてもらうためだった」としている。

 捜査中で容疑者に聞き取りや事実確認ができないため、市の処分は「司法の判断を待った上での対応になる」との方針を示した。(古川浩司)