伊万里市で開催した上映会の様子

 「映画で想いを伝えたい」

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 私の初長編映画監督作品「土のひと風のひと」、2024年5月に佐賀市のアバンセを皮切りに県内外合わせて20カ所以上で公開し、1500名以上の方に観ていただいている。この映画は、私が地域おこし協力隊で経験した想いがたくさん詰まった作品だ。「うちでも上映会をやってほしい」という声をいただき、公民館や会議室、映画館などで上映してきた。そして、約1年をかけてきたこの活動もいったん終わりを迎えようとしている。

 毎回上映後にいろいろな方と「これからの地域について」意見交換をしてきた。地域課題はたくさんあって、空き家や少子高齢化問題、山だけではなく平野部でも過疎化の問題があるなど、課題は山積みだ。そして、各地域でこれからどうしていこうかと考え、行動を起こし、踏ん張っている人たちがいた。その方々に共通している想いは「自分たちのため」だ。

 課題解決の取り組みは、「この地域をどうしたいのか」ということから話すことが多いが、意見交換が進むと、地域のためより「自分たちのため」という俗人的な話に落ち着いていく。その土地の風習や考え方、地域文化がある中で、どのように生きていきたいかを考えると、行動力もでてくるのではないか。

 自分たちの未来のために、地域課題という“ラスボス”に真っ向から戦いを挑むと、傷つき、苦戦することもあるだろう。しかし、限界だと諦めず、挑み続ける中山間地域の人たちの姿をみていると、「中山間に住む人は、今まさに青春ど真ん中なのかもしれない」と気づかされ、カッコいいと感じた。

 この映画はそんな人たちを応援するために作った映画だ。どれだけの人に伝わっているか分からないが、少しでも中山間地域や佐賀県、日本の過疎地域への応援メッセージになればと思う。集大成として、22日に活動をスタートしたアバンセで再度上映会を開催する。

 (音無てらすオーナー 山本卓)