子宮筋腫は婦人科疾患の中で最もありふれたものです。小さな筋腫も含めると、30代の女性の3割、50代以上の女性では7割くらいに認められるといわれています。子宮筋腫は発生する部位によって症状が異なり、子宮の内腔に向かって大きくなる粘膜下筋腫は小さなものでも月経時の出血が多くて貧血になりやすく月経困難症で来院されます。一方、外側に向かって増大する漿膜(しょうまく)下筋腫では過多月経はありませんが、大きくなりやすくぼうこうや直腸を圧迫して頻尿や便秘になります。
子宮筋腫が悪性化することはありませんが、まれに筋腫と似たような顔つきをしている肉腫というものがあります。悪性の腫瘍には癌(がん)腫と肉腫があり、癌腫よりも肉腫の方が抗がん剤や放射線治療が効きにくく、予後が悪いといえます。
肉腫は筋腫に比べると血流が豊富で軟らかく急速に大きくなります。MRIを撮ればある程度、鑑別ができます。
私の母も産婦人科医でしたが自分で腹部の腫瘤(しゅりゅう)を触知し、当時はMRI検査ではなくCTだけでしたので卵巣腫瘍という診断で手術を受けました。私は麻酔医として手術に立ち会いましたが、術中に執刀された教授が「卵巣ではないね」と言われ、病理診断の結果、子宮と卵巣の間の後腹膜に発生した平滑筋肉腫でした。術後に放射線治療を受けましたが、発症から1年後に肺へ転移し、抗がん剤も奏功せず約3年の経過で亡くなりました。
そのころ、同じ平滑筋肉腫の方がいらっしゃいましたが、その方は幸い子宮の入り口にポリープ状にできた肉腫でしたので、手術で治癒されました。
一般的には、子宮筋腫は閉経するとホルモン活性がなくなるので、増大することはありません。超音波でみて以前からある筋腫で大きさに変化がなければ心配はありません。
閉経後にもかかわらず大きくなるようであれば、肉腫を疑ってMRI検査を受けることや子宮体部の細胞診で調べるなど、注意していただければと思います。
どんなに健康に気を付けていても、悪い病気になることを完全に予防することはできません。早期発見・早期治療をして、治癒を目指しましょう。
(伊万里市 内山産婦人科副院長、県産婦人科医会理事 内山倫子)
