講演で読書が持つ癒やしの力について語った寺田真理子さん=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀

座談会で意見を交わす寺田さん(左から2人目)、山口祥義知事(同3人目)ら

 佐賀県内の公立図書館の司書が交流する「司書のつどい」がこのほど、佐賀市で開かれた。佐賀新聞で「心と体がラクになる読書セラピー」を連載している日本読書療法学会会長の寺田真理子さんが講演し、自身の体験を交えて読書が持つ癒やしの力を紹介した。

 寺田さんは、外資系企業で通訳として働く中でうつ病になり、本に助けられた経験を語った。「写真集や絵本などの文字が少ない本から読み始めて、徐々に心身を回復した。本は一人の人間を自分の人生に戻す力があるものだと思う」と話した。

 読書療法の歴史的背景や海外での実践、読書がもたらす心への効果なども解説した。参加した司書には、来館者との信頼関係が読書セラピーの推進につながることを伝え、「セラピーにお薦めの書籍コーナーを設置したり、本を読まずに参加できる読書会を開催したりしてほしい」と呼びかけた。

 山口祥義知事、嬉野市立図書館司書の山縣靖子さん、多久市立図書館の辻成美館長も参加した座談会では、においや質感とともに内容が記憶されていく本の魅力を再確認した。

 つどいは5回目で、約70人が参加。イチオシ本を紹介し合う交流会や、公共図書館司書表彰、スクール読書チャレンジ運動の表彰などもあった。(坂本有佐)