最近、テレビや新聞、ネットなどで、「円安が続いている」とか「前日から◯円◯銭の円高となった」とか「トランプ大統領(だいとうりょう)になって為替(かわせ)相場はどうなるか」などといったニュースを見聞きすることがあると思います。どういう意味なのでしょうか?

 皆(みな)さんは普段(ふだん)「円」を使って買い物をしていますが、海外旅行に行ったときには、その国で使われているお金、アメリカでは「ドル」、ヨーロッパは「ユーロ」、韓国(かんこく)は「ウォン」、中国は「人民元」、で支払(しはら)う必要があります。その外国のお金は、「円」と交換(こうかん)して手に入れるのですが、例えば皆さんがアメリカに旅行し、空港で1万円をドルに交換するとします。そのときの「ドルと円の交換比率(ひりつ)」(為替相場といいます)が、1ドル=100円であれば、1万を100で割(わ)った100ドルが手に入りますね。一方で、1ドル=150円であれば、1万を150で割った約67ドルが手に入ります。これらを比(くら)べて、同じ金額(きんがく)の円を、より多くのドルに交換できることを「円の価値(かち)が高い」ので「円高」、より少ないドルにしか交換できないことを「円の価値が安い」ので「円安」といいます。

 なので、1ドルがいくらなら円高、いくらなら円安、というのではなく、違(ちが)う時点と比べて「円高・円安」と呼(よ)びます。

 為替相場は、貿易(ぼうえき)や人の動き、金利や物価(ぶっか)、政治(せいじ)や戦争など、日本と世界の情勢(じょうせい)が複雑(ふくざつ)に影響(えいきょう)しながら、刻々(こっこく)と変わります。このため、最近では、新しい大統領のもとでのアメリカの動きが注目されているのです。

(佐賀県金融広報委員会副会長・西崎淳一=日本銀行佐賀事務所長)