事業承継について具体例から学ぶセミナーが6日、佐賀市で開かれた。「旅館あけぼの」=佐賀市=の音成亜美社長が自身の事業承継の体験を紹介し、引き継いだ強みを生かしながら、時代が求める形に進化させることが重要と訴えた。
音成社長は、佐賀にUターン移住して間もない2022年、父の急逝を受けて入社し、県事業承継・引継ぎ支援センターなど複数の機関に支援を求めたと話した。中小企業診断士らの助言を得ながら事業承継計画書を作成し、「いろんな人に力をもらいながら離陸できた」と振り返った。
この中で自社の強みを洗い出し、経営理念の明文化などに取り組んだと説明した。理念に沿って、築90年の和室をダイニングに改修して以前から好評だった朝食を非日常空間で楽しめるようにし、先代が続けてきた寄席をより盛り上げ、ジャズと日本酒を楽しむイベントも始めるなどの改善点を示した。
事業承継について、「先人が残してくれた資産を大切にしながら、今の時代に合わせた形で提供するという『進化』をさせていくことが大切」と呼びかけた。
セミナーは、同センターが県内企業に事業承継について理解を深めてもらおうと開き、約120人が聴講した。(北島郁男)