田んぼ、道ばた、原野など日本各地に自生する植物ナズナ。草丈は10~40センチほどで、3月~6月ごろ、直径2~3ミリの白い小花を茎先に咲かせます。扁平(へんぺい)な三角形の果実は揺らすと中の種子がぶつかり合い「シャリシャリ」と音がします。別名「ペンペングサ」は果実が三味線のバチに似ることからきた愛称です。

 若葉は春の七草のひとつとされ食用されます。「七草がゆ」がその代表です。また生薬「薺菜(せいさい)」として薬用され、利尿、止血などに効果があります。中国医学では花と種子も用いられるそうです。

 荒れ果てた土地の様子は「ぺんぺん草が生える」、逆にナズナさえも生育しない様子を「ぺんぺん草も生えない」とたとえられます。どこにでも生えるその生命力は慣用句になるほどです。(中冨記念くすり博物館)