佐賀県教育委員会は、自殺した県立学校の生徒の遺族からの要望を受け、外部有識者で構成する第三者調査委員会を設置、29日に詳細調査とその後の対処の在り方について諮問した。文部科学省の自殺事案発生時の背景調査の指針に基づき、第三者委を設置するのは県内で初めて。
委員会の初会合が非公開で開かれた。県教委は、調査に影響を与える恐れがあるとして、事案の概要や学校名、生徒に関する情報は公表していない。時期についても2023年度とだけ明らかにした。校内での聞き取り調査で「現時点でいじめは確認されていない」とした。
県教委によると、遺族から学校や県教委に対し、第三者委での調査の要望があった。文科省の自殺事案発生時の背景調査の指針では「遺族の要望がある場合」に、第三者委などによる詳細調査への移行を判断するとされている。
県教委は調査の目的として、自殺に至るまでの事実経過、自殺原因の考察、今後の再発防止などを挙げたほか、学校と県教委の自殺前後の対応も調査対象になるとした。
この日は、学識者や医師ら6人を委員に委嘱し、県弁護士会の中尾中氏を委員長に選任した。事務局が事案の概要を説明し、今後の調査の進め方などを議論した。大橋孝太郎副教育長は「県教委として生徒が自殺により亡くなったことを大変重く受け止めている。県教委として第三者委の調査結果を真摯(しんし)に受け止め、今後の取り組みに生かしていきたい」と述べた。(栗林賢)