3月策定を目指す六角川流域の水害対策計画について議論したシンポジウム=武雄市の北方公民館

熊本地震の避難所運営について説明する大塚和典さん=武雄市の北方公民館

 武雄市は26日、防災と治水をテーマにしたシンポジウムを同市の北方公民館で開いた。市内の六角川上流域が特定都市河川に指定されたことを受け、市や国、県が3月末の策定を目指す「水害対策計画」について、それぞれが取り組みを説明。出席した約250人の市民と共に、水害に強いまちづくりについて考えた。

 9日に示された計画の素案では、重点整備地区の橘、朝日、北方町のうち、橘町には隣接する東川登町で整備中の六角川洪水調整池に加え、国が新たに遊水地を造成。朝日、北方町では国による堤防整備のほか、県が河道拡幅や遊水地整備、橋梁(きょうりょう)改築を行うことを盛り込んでいる。

 国土交通省武雄河川事務所の寺尾直樹所長は「六角川の水位を下げるため調整池や遊水地を作って水をため、浸水リスクが高い地域では建物のかさ上げなど住まい方の工夫にも触れている。関係者が多層的に取り組む内容」と計画のポイントを解説した。

 小松政市長は「ため池の事前放流やたんぼダムの推進などで水をためる取り組みを続け、アプリを使った情報発信や出前講座など市民への啓発にも力を入れる」とした。県県土整備部の永松義敬理事は、家屋のかさ上げ支援など県の取り組みを紹介した。

 質疑応答では「武雄市だけの取り組みにとどめず、周辺市町とも連携すべきではないか」「家を新築する時は雨水が浸透しやすいコンクリートで舗装するなど、個人でもできる取り組みをもっと紹介してほしい」などの要望が出た。

 防災講演会もあり、熊本市職員として熊本地震を経験し、現在は防災コンサルタント会社代表を務める大塚和典さんが、避難所運営について話した。(澤登滋)