日曜日、友達の家へ遊びに行ったら、知らないヤツが来ていた。友達と同じ塾に通う、よその地区の子らしい。てっきり2人きりと思ってたから気まずいわぁ…。NHK「みんなのうた」で流れる岡崎体育さんの『ともだちのともだち』という歌である◆初対面の子と距離が縮まらないまま3人でゲーム。すると突然、友達が言った。「ちょっとトイレ行ってくる」。それまで友達を真ん中にして何となく成立していた空間。取り残された2人は会話の糸口もなく、麦茶だけがぐんぐん減っていく…◆そんなコミュニケーション能力が問われるピンチをいかに乗り切るか。チンパンジーなら「あ、オレも」とトイレについていくかもしれない。京都大の研究で、彼らも人間と同じように「連れション」をすることが分かったという◆近くにいたり、集団内の地位が低かったりするほど、おしっこにくっついて行く傾向があるのだとか。新大統領の顔色をうかがってSNSの虚偽情報のチェックをやめたり、脱炭素に後ろ向きになる米経済界を見ていると、ヒトもチンパンジーと大差はない◆もっともチンパンジーの連れションは「仲の良さ」とは関係ないらしい。「みんなのうた」が教えるのは、「友達の友達は実は友達ではない」という現実だろう。誰かをあてにしたつながりは案外もろいものである。(桑)

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