音読の様子を見守る中村祐二郎さん(左)=佐賀市の日新小

 定年などで退職した元教員が、佐賀市内の小学校に出向いて指導をサポートする活動が始まっている。第2次ベビーブームに合わせて大量採用された教員が退職し、若手教員が先輩から教えを受ける機会が減っていることから、豊富な経験を伝え、退職後も社会との関わりを持ち続けることを目指している。

 11人の元教員でつくる「学校応援団『トレイン』」が昨年4月、勧興小で活動をスタートさせた。現役時代の知見を生かして若手教員に授業の進行について助言したり、学校の現状や課題について話し合う校内研修を開いたりしている。

 1月からは日新小でも取り組み、17日には元市教育長の中村祐二郎さん(65)が1年生の国語の授業をサポートした。中村さんは児童の音読に耳を傾け、「本は口元にかぶらないように持つといいね」とアドバイス。授業途中で席を立った児童が集中できるよう、「座って発表を聞こうか」と目線を合わせて優しく声をかけた。

 採用2年目で担任を務める江見歩乃佳さんは「私が気が付かない子どもたちの様子にも目を配ってくださって、授業もスムーズに進行できた。できれば毎日毎時間来てほしい」と話す。

 中村さんは「子どもたちから『また来てね』と言われると元気をもらえる」と話し、「人生の新しい生きがいができてうれしい。体が動く限り続けたい」と語る。

 来年度からは新栄小、神野小でも活動する計画。メンバーには元中学校教員もおり、中村さんは「小学校で安定した活動ができるようにし、中学校にも取り組みを広げられれば」と今後を見据える。(秋根紗香)