桃山時代に栄えた三つの都市に光を当てる特別展「桃山三都-京・大坂と肥前名護屋」が、佐賀市の県立美術館で29日まで開かれている。豊臣秀吉の黄金の茶室(復元)をはじめ、国宝や国重要文化財級の名品が並ぶ。特別展を担当した県立博物館・美術館の学芸員松本尚之さんに見どころを寄稿してもらった。
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織田信長の後を継いで全国を平定し天下人となった秀吉は、京に聚楽第(じゅらくだい)や伏見城、大坂に大坂城を築き、朝鮮出兵の拠点としてここ肥前に名護屋城を築いた。秀吉は慶長3(1598)年8月、その生涯を伏見で終えた(享年62)。同年3月には、醍醐の花見を催した秀吉だが、体調を崩し、自身の衰えを自覚するに至る。そんな秀吉は、死の直前に一通の遺言状を認めた。その写が毛利家伝来の上掲資料である。語句を補って原文を読み下すとおおむね次のようになる。