源氏物語入門

 書店で『源氏物語(げんじものがたり)』のコーナーを見かけ、物語や紫式部(むらさきしきぶ)の人気の高まりを感じています。平安時代・中期は、十二単(じゅうにひとえ)や和歌などの文化が花開きました。この時代に書かれた『源氏物語』は、世界で最も古い長編(ちょうへん)小説といわれ、貴族(きぞく)の暮(く)らしや行事、今に伝わる祭りも描(えが)かれています。

 『源氏物語』が書かれた時代は、和歌を送り好きな人に気持ちを伝えていたので、上手な和歌を作ることは重要でした。『源氏物語』には約800首もの和歌が詠(よ)まれ、平安時代・後期には「『源氏物語』を読まない歌詠(うたよ)みは残念」といわれ、『源氏物語』は和歌の教科書にもなりました。

 『源氏物語』は、一条(いちじょう)天皇(てんのう)に献上(けんじょう)するために書かれた物語ですが、書き始めた時から貴族の間で物語が面白(おも)(しろ)いと話題になりました。光源氏(ひかるげんじ)のライバルへの対抗(たいこう)心や友情(ゆうじょう)などは、いつの時代にも共通することで、1000年経(た)った今も共感をもって読み続けられています。紫式部が書いた平安貴族の物語を読んでみませんか。

 (司書ネットワーク課 友田ゆうこ)

 

ほかにもこんな本をおすすめ!

◆角田光代さんと読むビジュアル源氏物語
 角田光代/訳
 山田和人/総監修
 岩坪健・加藤直志・同志社大学古典教材開発研究センター/監修(ポプラ社)

◆紫式部 波乱に満ちておもしろい!
 ストーリーで読む伝記
 令丈ヒロ子/著
 鈴木淳子/絵(岩崎書店)

◆見て味わう×読んで知る平安時代の古典と文化
 川村裕子/監修(童心社)

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