太田京子さんの「夢の浮草」

木下真さんの「蔓牡丹唐草文」(部分)

志戸朋子さんの「裂織・メグリツナグ 1・2・3」

佐賀県染織作家協会の会員ら。展覧会が交流の場にもなっているという=佐賀市の佐賀大学美術館

山口けい子さんの「ふるさとの風景」

佐賀県染織作家協会長・渡邊成樹さんの「雲遊ぶ」。阿蘇山のまわりを雲が遊んでいるようなイメージで構成した

 県内で活躍する染織作家が会派を超え、作品を一堂に並べる「第42回佐賀県染織作家協会展」が21日から、佐賀市の佐賀大学美術館で始まる。型染めやろうけつ染めのほか、佐賀を代表する佐賀錦や鍋島緞通(だんつう)など、多種多様な作品表現を見ることができる。

 会員23人がびょうぶやタペストリー、浴衣など約40点を展示する。2024年度の県芸術文化功労賞を受賞した山口けい子さん(太良町)は、着物「ふるさとの風景」を出品。結婚して移り住んだ太良町の自然の恵みを、型染めの連続模様で描いた。紺色でまとめ、雄大な有明海や山を生き生きと浮かび上がらせる。

 太田京子さん(みやき町)の「夢の浮草」は、水辺のホテイアオイがモチーフ。ろうけつ染めによって深みのある色や微妙な陰影表現に挑戦する。絵画のような風合いで、薄紫色の花やみずみずしい葉から生命力が伝わってくる。

 鍋島緞通の織元「織ものがたり」を運営する木下真さん(神埼市)は、現代のライフスタイルに合わせ、使いやすいヨガマットサイズの「蔓牡丹(つるぼたん)唐草文」を制作。「後世に受け継がれる鍋島緞通を」との思いで織り込んだ。

 志戸朋子さん(鳥栖市)は、裂き織で仕立てた「メグリツナグ」シリーズを飾る。マントには、古い着物の裏地をひも状に細かく切り、織り込んだ。朽ちていくものの美しさ、最後までものを使い切るという暮らしの知恵が詰まっている。

 佐賀県染織作家協会展の事務局は「技法を組み合わせ、会員それぞれが独自の表現を追求している」と話している。(清川千穂)

 

▶「第42回佐賀県染織作家協会展」は佐賀大学美術館で21日から26日まで。観覧無料。