簿記資格の最高峰とされる日本商工会議所(日商)簿記検定1級の昨年11月の試験に、伊万里実業高3年の長谷部直哉さん=伊万里市東山代町=と田中夕愛(ゆうあ)さん=同市松島町=が合格した。試験は年2回行われ、6月の試験でも同校の3年生1人が合格。一つの学年で3人合格という快挙に本人も学校関係者も大喜びだ。
日商簿記1級は公認会計士や税理士への登竜門といわれ、会計に関する深い知識が求められる。試験は商業簿記、工業簿記など4科目あり、各科目4割以上、合計で7割以上得点すれば合格になる。過去10回の平均合格率は11・7%。長谷部さん、田中さんが受けた11月の試験は合格率15・1%だった。
2人と6月の試験で合格した辻川櫂(かい)さんは、ともに簿記部に所属している。日商1級を共通の目標に掲げ、自宅でも毎日2~3時間机に向かった。「分からないところは教え合い、ライバルとして高め合った」と長谷部さん。伊万里商業高時代にさかのぼっても初めてとなる3人合格の快挙は、部員同士が切磋琢磨(せっさたくま)して成し遂げられた。
いずれも初めは進学や就職を見据えた資格取得のため入部したが、簿記の面白さに目覚め、勉強が楽しくなったのもモチベーションを長く保てた理由だという。
長谷部さん、田中さんの合格発表は1月6日にあった。2人は「頑張って勉強したので、すごくうれしい」と口をそろえ、部活の仲間や顧問の馬場大一郎先生の支えに感謝した。来春から長谷部さんは公認会計士を目指して専門学校で学び、田中さんは福岡大商学部に進んで専門知識を深める。(青木宏文)