昨年の九州場所を最後に引退した大相撲の元幕下琴隆成、松尾将志(まさし)さん(28)が13日、故郷の武雄市北方町におにぎり店をオープンした。「相撲を離れて自分を見つめ直したい」と帰郷し、父・清史さん(52)が営む鍋料理店の一角で、ちゃんこ作りで鍛えた料理の腕前を生かしたおにぎりを提供する。
松尾さんは北方中卒業後の2012年春に佐渡ケ嶽部屋に入門。169センチ、135キロと小柄ながらも押し相撲を得意とし、最高位は幕下38枚目。九州場所で地元に帰ると、イベントに参加してちゃんこを振る舞うなど地域の人たちとの交流を大切にしていた。
昨年3月の春場所で、痛めていた左足をさらに悪化させて負け越し。けがの回復も思わしくないため親方に引退を申し出たが「地元の九州場所までがんばれ」と励まされ、土俵を務めた。九州場所は4勝3敗と勝ち越したが「これで気持ちの整理がついた」と、13年間の力士生活に区切りをつけることにした。
店名は「おにぎり 松」で、県産米に有明ノリを巻いたおにぎりを12種類用意する。松尾さんは「まずは店を軌道に乗せ、お世話になった人たちに感謝の気持ちを伝えたい」と話し、「子どもたちに相撲を教えたいという気持ちもあるが、観光で武雄を訪れる人に食事をしながら相撲を体験できるようなイベントをやってみたい」と将来を描く。(澤登滋)