上峰町出身の演歌歌手小島よしきさん(39)が昨年11月6日、シングル「湖上駅」(4曲入り、1500円)で日本クラウンからメジャーデビューを果たした。自らの“原点”と語る福祉施設での訪問コンサートを重ねてデビューにたどり着き、「多くの人に笑顔と元気を届けたい」と新たなスタートを切った。
小島さんは17歳からバンド活動を始め、歌手として全国区を目指した。29歳でメニエール病を発症して右耳が聞こえなくなったが、病は自分と向き合う契機になった。「遠くばかり見つめて『ここではないどこか』を探していた」ことに気がつき、「自分を支えてくれる目の前の人を喜ばせたい」と思ったという。
演歌の華やかで独特な世界観に魅了され、30歳から演歌歌手北山たけしさんの父に弟子入りした。「僕を育ててくれた大切な場所」と語る福祉施設での歌唱は、これまで全国約120カ所を訪れている。
上峰町のイメージソング「このまちで」を作詞作曲するなど地元に根を張って活動を続ける中、現在の所属事務所と縁がつながった。「夢をまた追えるなら、再び『日本一の歌手』を目指したい」と、メジャーの道を歩み出した。
デビュー曲は、日本作曲家協会会長で“演歌界の巨匠”と名高い作曲家徳久広司さん(佐賀市出身)が手がけた。耳が肥えた演歌ファンから好評で、ライブも大いに盛り上がるという。
努力を重ねて歌唱力にも自信が付き、小島さんは「表現したいことを歌で表せるようになってきた」と目を輝かせる。これまで多くの局面で自分が音楽に救われてきたように「僕が笑顔と元気を届けたい」と力を込めていた。(花木芙美)