特定都市河川に指定された六角川流域の武雄、嬉野両市と佐賀県、国土交通省武雄河川事務所などで構成する六角川流域水害対策協議会が9日、武雄市で開かれた。昨年2月に武雄市北方、朝日、橘町を重点整備地区にしたことを受け、新たな遊水地や堤防整備などを盛り込んだ水害対策計画の素案が示された。
素案によると、橘町には隣接する東川登町で整備中の六角川洪水調整池に加え、国が新たに遊水地を造成。朝日、北方町では国による堤防整備のほか、県による河道拡幅や遊水地整備、橋梁改築が加わった。武雄市が進める雨水貯留浸透施設の整備や武雄町永島地区での遊水公園整備も含む。
計画期間は完了までおおむね20年とし、今後、地域代表への説明やパブリックコメントの実施、学識経験者の意見を踏まえて計画案としてまとめ、3月末の策定を予定している。
国が進める六角川と牛津川流域の河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)は3月で終了するが、2021年8月の記録的大雨と同程度の雨が降れば、武雄市内では450戸が床上浸水すると予測する。武雄河川事務所は、この水害対策計画が完了すれば、家屋のかさ上げなども含め床上浸水は解消されるとした。
意見交換では武雄市の小松政市長が、素案に含まれる六角川洪水調整池について「事業は2019年から始まっており、地元の期待も大きいのでスケジュールの明確化とスピード化を図ってほしい」と要望した。
採石場を活用して整備する六角川洪水調整池は、完了まで10年程度かかる見通しとされているが、佐賀新聞の取材に対し武雄河川事務所の担当者は「土地所有者との交渉を進めており、現時点でスケジュールを示すことは難しい」と答えた。(澤登滋)