新しい年が幕を開けた。今年は巳(み)年。脱皮して再スタートに適した年とも、お金が身につく年とも言われるが、この物価高の中、身につくとまで欲張りなことは言わないが、せめて脱皮して身ぐるみ剝がされないようには務めたい。
早朝は気温がマイナスを記録する日もあるなど、寒さが一段と増してきた。空気も乾燥し、火災のニュースもよく見かけるようになった。昨年末には有田でも不幸にも発生しており、火の元にはくれぐれも気を付けたい。特に有田の内山地区は、江戸時代以来ほとんど屋敷割りが変わっておらず、隣家とのすき間は軒先を接するほどで、一度火災が発生すると大惨事ともなりかねない。
今でも町内で語り継がれるのが、文政11年(1828)に内山の大半を焼失した大火である。一般の方々が目にする機会はほとんどないが、発掘調査すると、地面の下には、今でもその時の焼土層が刻まれている。火熱で赤茶色に変色した黒瓦や、釉薬が再熔融して表面がザラザラになった磁器片なども出土し、単なる絵空事ではなかったことを如実に物語っている。
毎年1月26日は文化財防火デー。その前後に、日本各地で消火訓練などが実施される。有田町でも19日午前9時から、幸平の旧田代家西洋館付近で行われる。消防署による延焼防止用の水膜防御システムの実演や消火器の取り扱い実習などもあり、多くの方々のご参加を願いたい。(有田町歴史民俗資料館長・村上伸之)