有田町の陶芸家で白磁の人間国宝(重要無形文化財保持者)井上萬二さん(95)の窯元で7日、初窯出しがあった。現役で作陶を続ける萬二さんは「健康維持に精進しながら、新しいものにも挑戦したい」と抱負を語った。
昨年末に焼成した窯から、孫の祐希さん(36)の作品を含む約300点を取り出した。萬二さんが手がけたのは花器や壺(つぼ)など50点ほど。昨年から試作しているステンドグラスの光をイメージした文様の花瓶を手に取り、真剣なまなざしで仕上がりを確かめた。
ここ数年、病気やけがに度々見舞われながらも、作陶に向かう気力が衰えることはない。ただ昨年は長期入院したこともあり、「いくら意欲やアイデアがあっても、健康でないと何もできないとつくづく感じた。健康第一でいく」。今年は人間国宝の認定を受けて30周年になり、東京など全国数カ所で個展を開く予定という。(青木宏文)