「くるまおろし」でろくろを回す深川聰さん=有田町の深川製磁

 有田町の深川製磁で7日、工房の仕事始めに当たる「くるまおろし」が行われた。1894(明治27)年の創業から続く新年の行事で、1年の安全と健康を願って職人がろくろを回した。

 有田の窯元ではかつて年末にろくろ(車)を神棚に納め、年明けに下ろして仕事を始める習わしがあった。この日は神事の後、ろくろ師の深川聰(そう)さん(68)が高さ約50センチの花瓶作りに取りかかり、「世の中が少しでも上向きになるように」との思いを込めて成形した。

 同社は創業130年事業として2月4~9日、九州陶磁文化館(有田町)で工房内の様子を伝えるイベントを企画している。深川真樹生社長(46)は「いい焼き物を作り続けながら、作品以外でも焼き物の魅力を積極的に伝えていきたい」と抱負を語った。(青木宏文)