染色家だった祖父鈴田照次(1916~81年)に、亡くなってから生まれた孫の清人(31)は会ったことはない。だが、祖父が残したデザイン帳の束から、その息吹と情熱はひしひしと感じ取ってきた。

 鉛筆をラフに走らせたスケッチから、染色作品の図案まで、アイデアがあふれんばかりだ。とじひもが切れ、ばらばらになりかけていたデザイン帳を1ページずつ、デジタルカメラで撮影した。

「祖父は『戦争で20代を無駄にした』と書き残していた。それを取り返そうと必死だった」

それぞれの作品を手にする鈴田滋人(左)と清人=鹿島市能古見