破産手続き開始を申し立てた唐津商工共済協同組合の債権者説明会が28日、唐津市の大手口センタービルで開かれた。全債権者の1割強の約80人が出席し、突然の事業停止に戸惑いながらも冷静に質疑に臨み、「少しでも多くお金が戻るように」と望みをつないだ。
説明会は約1時間で、報道陣にも公開された。岩村嘉弘理事長は「預金の引き出しが増えて手元資金が枯渇した」と謝罪した。稲津高大弁護士が破産に至った経緯や、今後は福岡地裁が選任する破産管財人が組合所有の不動産を売却して配当する流れを説明。参加者から「債権者のリストはあるのか」との質問が出て、稲津弁護士は「データベースがある」と答えた。
最前列に座っていた福岡県内の70代女性は、400万円の引き出しを先週電話で依頼した際、「24日に来てほしい」と言われ、実際に事務所を訪れると事業停止していたことを問題視。弁護士は「やむを得なかった」と理解を求めた。
説明会後、飲食店従業員で50万円の積立金がある50代女性は「幾分は返金があると分かってよかった。『管財人』『管財人』としか言われないので、待つしかない」とし、途中経過の細やかな説明を求めた。70代男性は夫婦で50年近くにわたって約4千万円を積み立てた。「老後の資金や孫のためにと思っていた。子どもたちにまだ言えていない」とうつむき、足早に会場を後にした。
組合によると、債権者は約700人で、最高は2億円、1千万円以上が15人以上。約450人は5千円以下で、ほぼ金の動きがないという。(宮﨑勝、松岡蒼大)