唐津市の早稲田佐賀高で27日、新型コロナウイルス禍で卒業式が中止になった2019年度卒業生のための「卒業式」が行われた。12人が母校を訪れ、旧友や恩師との再会を通して5年越しの門出を祝った。
20年3月卒業の第8期生は162人。当時、感染拡大防止のため式典は行われず、卒業証書は指定された時間に教室で担任から授与された。郵送したケースもあったという。
この日はライブ配信も行われ、当時の担任が卒業生の名前を読み上げた。迎佳和副校長は「とても長い時間が経ってしまいましたが、改めて皆さん卒業おめでとう」と祝福した。
卒業生を代表し田中丸武(たける)さん(23)=東京都=が「卒業式中止の知らせを聞いた時の、言いようのない喪失感は今でも鮮明に覚えている」と回顧し、恩師らの指導に謝辞を述べた。
最後は校歌「都の西北」を腕を振って斉唱。自治医科大3年の谷川旦誼(あさぎ)さん(23)=佐賀市出身=は「区切りをつけてもらえたことがうれしい。将来は離島に医療を届けることで貢献したい」と気持ちを新たにした。企画した早稲田佐賀中学校・高等学校後援会の向谷一会長(48)は「彼らの顔を見て、やってよかったと実感できた」と語った。(松岡蒼大)