『小島よしおのボクといっしょに考えよう』小島よしお/朝日新聞出版

 ニュースサイト「AERA dot.」の連載「ボクといっしょに考えよう」を書籍化。お笑い芸人の小島よしおさんが、子どものお悩みに答えていく。早起きができない、宇宙人が怖い…。さまざまな悩みごとに向き合い、一緒に考える。

 ユーモアこめて優しく、真摯(しんし)な姿勢で一つ一つ丁寧に答えていく。相談者を否定せずまずは肯定と共感している部分が、寄り添おうとしている優しさを感じた。文末は必ず「……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?」というメッセージで締めくくられる。自分の回答を押しつけるのではなく、相談者の考えを尊重する姿勢が伝わる。

 「友達のつくり方がわからない」「いじめられている子を助けたい」。中にはそういった人間関係に関する悩みも載っている。大人でも共感したり、「こういう考え方があるんだ!」と、新しい発見がきっとあるだろう。果たして、自分が子どもからそういった相談を受けたら、どのように返すだろうか? 大人の皆さん、ぜひ考えてみてほしい。

 そのほかにも、ギャグ図鑑や東京海洋大学名誉博士のさかなクンと子ども時代を語った対談も収録されている。

 年齢とともに内容は変わっても、生きていれば何かしらで悩む。1人で抱え込んで限界を迎える人もたくさんいる中、誰かに打ち明けることは、本当に勇気がいる。この本には、子どもたちの勇気の跡も残されているのではないのだろうか。小島さんの優しい言葉に、小学生のころの自分も救われたような気がした。(朝日新聞出版/1540円)

(コンテンツ部・池田知恵)