久光製薬(本社・鳥栖市、中冨一榮社長)の主力商品「サロンパス」が、発売から90周年を迎えた。時代やニーズに合わせて改良を続けてきた世界的シェアを誇る商品は年間約35億枚を生産し、「Hisamitsu」を世界ブランドへ押し上げた。発売当時からサンプル配布などの地道な販促活動を続け、貼り薬や「手当て」の文化を世界へ広めている。

 サロンパスは、1934(昭和9)年に鳥栖市で誕生。白色で爽やかにメントールが香る新しい貼り薬は、黒くはがした跡が残って独特な臭いの強い従来品とは一線を画し、注目を浴びた。試供品を配る宣伝策を積極的に行い、販路を徐々に全国へ拡大した。時には、中冨正義氏(久光製薬元社長)自ら銭湯で入浴客に商品を手渡した。

 パッケージには英語表示を併記し、当初から海外展開を意識していた。36年には、朝鮮半島などへ輸出を開始した。「貼り薬」の文化がない国も多くある中、国内と同様に試供品の配布を中心とする地道で確かな販促活動で人気が広まった。