佐賀県内の企業が製造した、人工衛星の位置を正確に把握するリフレクターと呼ばれる部品「Mt.FUJI(マウントフジ)」は宇宙に届かなかった。人工衛星を積んだ民間ロケットの打ち上げが失敗。それでも関係者は一定の手応えを感じ、「次は宇宙へ」と前を向いた。
製造した県内6社でつくる「佐賀県宇宙関連業務研究会」の中村善之介理事(中村電機製作所取締役)は、中継でロケットが上昇する様子を見て「いけー」と思わず声が出た。しかし飛行は中断。「残念だが、ロケット自体は前回よりも上がった。衛星が軌道に乗り部品が役に立つまではいくつか壁があるが、挑戦することがものづくりの魅力」と前向きに捉えた。
研究会のメンバーで部品の表面加工を担当した田口電機工業(基山町)の田口英信社長は、社員と中継を見守った。「1分くらいは真っすぐ飛んでいて、いけるぞと思ったが。まだまだ始まったばかりで、チャンスを狙っていきたい。次は宇宙まで到達してほしい」と語った。
研究会を支援してきた佐賀県の担当者は「部品の技術品質は最高の状態にある。打ち上げの機会があれば引き続き一緒にチャレンジしたい」と話した。(北島郁男、小島発樹)