幕末に反射炉を建造して鉄製大砲を完成させた佐賀藩の功績をたたえる「反射炉まつり」(県工業連合会主催)が7日、佐賀市で開かれた。同連合会の創立15周年を記念して始めた催しは今年で50回目。24ポンドカノン砲が例年より多い10発の祝砲を放ち、参加者は先人の偉業に思いをはせながら佐賀県の工業の発展を祈った。
日新小に設置されているカノン砲を佐嘉神社外苑駐車場に移動し、同連合会の吉村正会長や落合裕二副知事ら各界の代表者10人が点火した。お堀に向けられた砲身から爆音が響き渡ると、会員や見物客からどよめきと拍手が上がった。
会場の近くで家族と一緒に式典を見守った佐賀市の安達蒼人さん(8)は「雷が落ちたような大きな音にドキドキした。火薬のにおいもした」と目を丸くした。佐嘉神社記念館で行われた祝賀会では、鍋島報效会の鍋島直晶理事長による講演会などもあった。
同連合会は反射炉まつりを始めた1975年、日新小に反射炉記念碑も設置。77年に日新小の24ポンドカノン砲、80年には佐嘉神社の150ポンドカノン砲を復元するなど、顕彰事業を続けている。今年は50回目を記念し、反射炉記念碑と佐嘉神社のアームストロング砲を修復した。
吉村会長は「西洋技術を取り入れることで当時の日本の技術水準を飛躍的に高め、今日のものづくりの礎を築いた先人たちの志と努力を、未来を担う次世代へと継承していく」と話した。(伊東貴子)