
笑顔あふれる未来のために
県は2015年から「子育てし大県“さが”プロジェクト」に取り組んでいる。出会い・結婚、妊娠・出産、子育てと各ライフステージに応じた支援を行っており、若い世代に向けて、妊娠や出産を意識した健康づくりへの啓発など新たな取り組みも進めている。
ライフプラン考え健康管理を
若年世代へ「プレコンセプションケア」

若年世代が将来の妊娠などを見据えて健康と向き合う「プレコンセプションケア」を進めようと、県は本年度から取り組みを始めた。若者や親世代向けの啓発イベントのほか、具体的な取り組みを探ろうと、有識者などによる検討委員会を立ち上げている。
不妊治療などを受けたことがある夫婦の割合は増加しているほか、妊婦のやせすぎや出産年齢の高齢化によって低出生体重児の出産などのリスクが高まる。早い時期から性や妊娠に関する正しい知識を持ち、運動や食事内容などの心がけや健康管理を促そうと、全国的にも取り組みが広がっている。
県では、これまで中高生向けの性や妊娠に関する冊子の作成、保健師による出前講座を開いてきたが、初めて「プレコンセプションケア」を打ち出した推進事業費約300万円を予算化した。こども家庭課は「結婚や妊娠を考えていなくても、将来、自分が実現したいライフプランのために健康に過ごせることが大事」と話し、「若い頃からちゃんと健康管理をしておけば良かったと後悔しないよう、早い時期から正しい知識を持ってほしい」と呼びかける。
本年度は九州地域戦略会議主催で、10代、20代とその親世代を対象としたセミナーを9月に開催した。オンラインと本会場、サテライト会場への参加者合わせて約300人が参加。産婦人科医と大学生ユーチューバーが登壇し、月経痛の軽減や子宮頸(けい)がん予防などについて語り合った。
また検討委員会では、産婦人科医や助産師、大学生の男女などをメンバーに、具体的な取り組みについて意見を交わした。「プレコンセプションケア」という言葉の認知度の低さや、若年世代にとって身近な相談場所の必要性などが話題に上った。委員会での意見を踏まえ、こども家庭課は来年度以降の施策へつなげたいとしている。
自然に囲まれサバイバル体験
SAGAネバギバKIDS

自分の頭で考え、挑戦できる「骨太な子ども」に育ってもらいたい―。県は佐賀の豊かな自然の中でサバイバル体験をする「SAGA ネバギバ KIDS」を開催した。火おこしやシェルターづくり、食材調達などのミッションに仲間たちと協力して取り組むことでチームワークや主体性を引き出している。
山や森、海、川の佐賀の豊かな自然をフィールドにした1泊2日のイベントで、今年は5回開催。対象は小学4年~6年生で、定員200人程度に対して400人を超える応募が寄せられた。
当日は、公共交通機関を使って会場まで集合するのもミッションの一つだ。講師による指導を受け、サバイバル術の習得や山の冒険、丸太切り、カヤックでの水辺の探索、釣った魚をさばいたりと非日常の体験に取り組む。たき火を囲み、地域で活躍する方々の談話もある。
参加した子どもたちは「わくわくできるプロジェクトだった」「みんなとたくさん学べてとても勉強になったし、実際に体験することで、分かることがたくさんあった」「公共交通機関は利用したいけれど勇気が出なかったから、いい機会だった」と充実した活動を振り返った。保護者からも「家を出る時は不安でたまらなかった様子だが、再会した時には、少しお兄ちゃんに成長したように見えた。帰宅後も自分のことは自分でするようになった」「どんなことにも前向きにチャレンジする気持ちが芽生えたように思う」とコメントが寄せられた。
こども未来課は「佐賀は自然や歴史文化に富み、本物の体験ができる」とし、「子どもたちだけの困難な環境で、いろいろなことに挑戦する気持ちを育ててほしい」と話す。

子育て、エール便でサポート

赤ちゃんが生まれた県内のすべての家庭に向けて、子育てに役立つ情報を掲載したリーフレットとグッズを届ける「さが子育てエール便」に昨年度から取り組んでいる。
「子育てし大県“さが”プロジェクト」をより多くの方に知ってもらおうと企画。ベビーマッサージに使える加唐島産ツバキオイル、有田焼の離乳食スプーン、県産ヒノキ材のおもちゃを贈る。リーフレットでは、子どもの成長段階に合わせた子育てのサポート事業を紹介。外出中に、子育て中の親子が話しかけてもらうきっかけにするチャーム「ツナガルン」も同封する。
受け取った家庭からは「県が子育てを応援してくれていると感じた」などの声が寄せられている。こども未来課は「親子に寄り添ったサポートで子どもたちの成長を見守り、子育て家庭を応援したい」と話す。