かしま防災サポーターズクラブが協力して明倫小で実施された防災教室。児童や保護者らが参加して避難所の簡易テントや簡易ベッドを体験し、非常持ち出し品も確認した=11月15日、鹿島市

 元日に発生した能登半島地震から11カ月を迎える。冬場の大規模災害となり、防災面で寒さに対する備えや対策の必要性が改めて示された。避難所へ避難する場合などでの防寒や注意点をまとめた。

 冬の災害は、ほかの季節と比べて停電などによる影響が深刻になる。暖房器具が使用できなくなり、燃料の灯油が不足することも想定される。

 能登半島地震が発生した1月1日、一般社団法人「避難所・避難生活学会」は緊急の呼びかけをウェブサイトに掲載した。十分な暖房がないために「低体温症」になる恐れがあるとして、震えが止まらなかったり、呼びかけへの反応が鈍かったりする兆候に注意が必要になるという。すぐに体を温めるか、病院への搬送が求められる。

 低体温症は体の中心部の温度が35度を下回っている危険な状態で、特に高齢者は体温を失いやすい。意識を失って、最悪の場合は死亡するリスクがある。湯たんぽや毛布での保温や、温かい飲み物を飲むことのほか、ダウンなど防寒着の着用、上着の中に新聞紙を詰めることも対策になる。冷たい床に体温を奪われないように、マットレスや段ボールの簡易ベッドの使用などの避難所環境を改善する視点も欠かせない。

 厳しい寒さや被災のストレスから体調悪化のリスクが高まる。空気が乾燥する時期で、避難所では感染症が広がる恐れもある。1995年1月17日に発生した阪神大震災では、避難所でのインフルエンザの流行による「災害関連死」で多くの犠牲者を出した。予防のためにマスクや除菌シートなど衛生用品を用意するのが望ましい。

 また、各家庭で実践できる備えとして、季節に応じた非常持ち出し品の整理、見直しがある。冬は防寒着やカイロなどを加えることが想定される。体に巻き付けて使えるアルミ製の防寒シートも保温に効果があるという。 (中島幸毅)