紅葉の名所として知られる唐津市厳木町の「環境芸術の森」。次男の死を機に40年以上にわたって森づくりに励んだ鶴田正明さんが今年4月、88歳で亡くなった。三男の健二さん(59)が遺志を継いで大切に手入れし、「家族にとって大事な場所。残していきたい」との思いで来場者を迎えている。
正明さんは1959(昭和34)年、鶴松造園(現・鶴松造園建設)を創業。コンクールで多数の受賞歴を誇るなど庭師の才覚を発揮していた。絶頂期だった80(昭和55)年、次男が1年半にわたって40度以上の熱が続き、17歳で帰らぬ人となった。
山の木を切り出し、庭を造ってきた正明さんは子どもに先立たれたことに無常を感じ、生き方を変えた。「木を山に戻す」。会社は長男に任せ、作礼山の麓に広がる私有林にモミジやカエデを一本一本植えていった。10ヘクタールを約1万本の広葉樹が覆うようになり、2010年から秋に特別公開を始めた。