元軍が北部九州に攻め込んだ文永の役から750年目の節目に合わせ、武雄市図書館・歴史資料館は中世の武士をテーマにした企画展「戦いと伝承」を開いている。元寇(げんこう)や、武士にゆかりのある国重要無形民俗文化財「武雄の荒踊」に関する資料など約50点を展示している。12月15日まで。
元は文永11(1274)年と弘安4(1281)年の2度にわたり北部九州を攻め、鎌倉幕府軍と激しい戦闘を繰り広げた。武雄からも江戸時代の武雄鍋島家につながる後藤氏から、8代直明(なおあきら)のおいの頼明(よりあきら)と9代氏明(うじあきら)が参戦し活躍したとの記録が残っている。
武雄鍋島家の資料「蒙古合戦勲功賞肥前国神崎荘(かんざきのしょう)配分状」には、合戦の褒美として頼明に現在の神埼市の土地を分配して与えた、と記されている。文永の役後、幕府は元軍の再度の襲来に備え、博多湾の海岸線に「元寇防塁」を築いた。弘安の役では防塁の東側を肥前国、西側を肥後国が担当し、武雄からも加勢したと考えられている。
長崎県松浦市が所蔵する資料も並べる。鷹島町の海岸で発見された「管軍総把印(かんぐんそうはいん)」(レプリカ)は元の公用語のパスパ文字が刻まれた青銅印で、12月1日まで観覧できる。
武雄の荒踊は、戦国時代、戦勝祝いに足軽が即興で踊ったことが起源とされる。企画展では毎年9月に奉納されている中野(朝日町)、高瀬(西川登町)、宇土手(東川登町)の衣装を展示している。
近藤貴子学芸員は「武雄は幕末の蘭学資料はよく知られるが、鎌倉時代には元寇との関わりがあった。歴史の新たな切り口として興味を持ってもらえれば」と話している。
観覧無料。午前9時から午後5時(金、土曜は午後6時)まで。期間中は無休。問い合わせは同資料館、電話0954(28)9105。(澤登滋)