ふた昔以上も前、東京駅近くの書店の入り口で、柴を背負い本を読みながら歩く金次郎像と出会った。「理想の読書人」のシンボルとして建てられたらしい。
地元では、鳥栖市立麓小の校庭に1940年の「紀元2600年記念」で建立され、80年以上の風雪に耐えた金次郎が今も立っている。
長じて尊徳と呼ばれた金次郎の生涯について小学校の授業で学び、「手本は二宮金次郎」と歌っていた。内村鑑三著「代表的日本人」では西郷隆盛らと共に取り上げられ、「農民聖者」として描かれた。
時移り、「ながらスマホはやめましょう」と注意を受けそうな姿が少し気になる。そして、運動場で遊ぶ子どもたちを眺めている金次郎の横顔に会ってみたいなと、ふと思ってみる。
絵・錦織瑞穂=青空アトリエみやき教室講師
文・野口幸男=鳥栖市蔵上町