体操男子個人総合でロンドン、リオデジャネイロ五輪を連覇した内村航平さんが13日、佐賀市文化会館でトークショーを開いた。輝かしい実績を残した競技人生を振り返りながら、苦しんだけがにも触れ、「初心に返ること、探究心、向上心」の大切さを説いた。
五輪と世界選手権を合わせ、個人総合で前人未到の8年連続世界一を達成した内村さん。パリ五輪の団体、個人で金メダルを獲得した日本代表の後輩たちの活躍には「美しさでは僕にはかなわなかった」と笑いを誘い、「これ以上あるかってくらいにやってくれた」とたたえた。
「キング」と呼ばれた内村さんも、競技人生の終盤はけがに悩まされた。32歳で迎えた東京五輪では唯一出場した鉄棒で落下し、「何が起こったか分からなかった」。失意の中で迎えた2カ月後の世界選手権で「自分らしく着地を決めよう」と臨み、ぴたりと止めて一番の歓声を受けた。
司会から困難を乗り越えた原動力を尋ねられ、「体操が好きという初心に返ること、誰よりも知りたいという探究心、うまくなりたい向上心が支えてくれた」と答えた。「体を動かすことの素晴らしさを伝えていきたい」と体操への思いも語った。
佐賀体操クラブの子どもたち3人から質問も受けた。できてうれしかった技は「小学1年の時の蹴上がり」、苦手な技は「ない」。試合で緊張しない方法として「試合を想定して練習すること」とアドバイスした。ステージで連続後方宙返りも披露し、会場を沸かせた。
佐賀国スポに合わせて佐賀市が開催した「国スポおもてなし広場」の関連イベントとして開き、約650人が来場した。(古賀真理子)