佐野常民に贈られた画帖に収められた日本画が並ぶ会場=佐賀市の佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館

「佐野伯爵栄進画帖」に収められた、富士山を描いた野村文挙の作品

 日本赤十字社を創設したことで知られ、日本美術の再興にも尽力した佐野常民の功績をたどる企画展「日本近代美術の灯(ともしび)」が、佐賀市の佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館で開かれている。日本美術協会の会員が佐野に贈った「佐野伯爵栄進画帖」を初公開し、ワークショップや講演会も開く。11月24日まで。

 佐野は日本が諸外国から近代国家と認められるため、内面の近代化も重視した。急激な西洋化で衰退しようとしていた日本美術の再興に努め、伝統的な美術の保護を目的として1879(明治12)年に設立された「龍池会」(後の日本美術協会)の会頭を務めた。

 画帖は1895(明治28)年の佐野の授爵を祝って贈られたもので、同協会の画家104人が描いた富士山や七福神、サクラなどめでたい図柄を集めた。四条・円山派や南北合派の作品などが収められ、2019年に常民の子孫から寄贈を受けた。期間中、3回に分けて展示する。

 画帖の絵を模写する教室(要申し込み、観覧料のみ)は、佐賀市の日本画家大串亮平さんが講師を務める。19日午後2時、20日午前10時と午後2時で、定員は各10人。11月2日午後1時半からは、県立博物館・美術館学芸員の安東慶子さんが講演する(申し込み不要、無料)。定員40人。

 観覧料は一般500円、小中高生200円。月曜休館(祝日の場合は翌日が休館)。問い合わせは同館、電話0952(34)9455。(花木芙美)