春と秋に花を咲かせるマンドラゴラ(マンドレイク)。種類は二つ、花びらが淡い紫褐色の「春咲き」と薄紫色の「秋咲き」があります。根が二股に分かれる姿が「人の形」に似ることからさまざまな伝説が生み出されました。

 15世紀ドイツの薬学書『健康の園』には、春咲きを男性、秋咲きを女性とみなし根を男女の姿に描いた図像があります。引き抜くと叫び声を上げその声を聞くと死ぬ、魔術・錬金術に使用されるなどの逸話も残っています。

 根に鎮痛、鎮静作用などがあり、民間療法として関節痛やリウマチ緩和に軟膏(なんこう)として用いられます。しかし毒性が強く現在は使用されません。

 開花が難しい植物とされ当館では2016年から栽培を始めて2022年に初開花。以降、花開くたびに多くの人を魅了しています。(中冨記念くすり博物館)