「認知症の日」の21日、認知症に関するシンポジウムが佐賀市の佐賀大鍋島キャンパスで開かれた。当事者として発信を続け、映画のモデルにもなった認知症当事者ネットワークみやぎ代表の丹野智文さん(宮城県)が「誰もが安心して認知症になれる世の中を考えよう」と呼びかけた。
丹野さんは39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された。不安や葛藤を抱えながらの日々だったが、病気をオープンに語ることで周囲の支えを得られたといい、「環境が一番大切。人と人とのつながりが私を笑顔にしてくれた」と振り返った。
認知症の症状は初期や重度など人それぞれで、「病名でひとくくりにせず当事者の話を聞いて。先回りしてやってあげたり『できない』と決めつけたりすると、自信を失い本当にできなくなる」と訴えた。丹野さんがモデルになった映画「オレンジ・ランプ」は昨年公開された。
また、佐賀市の吉冨義純さん(73)と小城市の右近守さん(83)が、県の認知症本人大使(さが認知症すまいるリーダー)に任命された。2年間、認知症理解の普及啓発のために活動する。(花木芙美)