伝説の岩(中央)に舞い降りる3D-AR佐用姫=唐津市和多田(アプリで撮影した画像)

スマホに現れた佐用姫を見る親子

 悲恋伝説の「佐用姫」が、唐津市和多田の松浦川沿いに舞い降りてきている。現実の風景にデジタル映像を重ねる拡張現実(AR)技術を使い、佐用姫岩にスマホをかざすと3Dアニメが現れる。21日には式典があり、伝説を広く知ってもらい、憩いの場にしていくことを確認した。

 和多田商工振興会(松本金治郎会長、86事業者)が設立40周年で企画。伝説では、佐用姫は6世紀の新羅(しらぎ)出征で唐津に立ち寄った大伴狭手彦(おおとものさでひこ)と恋に落ちた。別れの際、見送った領巾振(ひれふり)山(鏡山)から後を追うように飛び移り、降り立ったのが岩の由来とされ、足跡のくぼみも残るという。

 3D-AR佐用姫は専用アプリで見られる。岩周辺の半径100メートル以内でスマホをかざすか、案内看板の画像をスキャンすると、実際の景色に重ねてアニメが出現し、約30秒にわたり恋心を語る。そのまま画像、動画で残すこともできる。

 川沿いの一帯は遊歩道が整備され、同振興会は桜の植樹や清掃活動をしてきた。松本会長(55)は「解説板ではなく、スマホで見て聞けて、若い人も親しみやすい。伝説をもっと知ってもらえれば」と話す。運用は1年を予定する。

 式典には峰達郎市長や近くの幼稚園児らも参加し、ごみ拾いなどをした後、誕生を祝った。会社員の釘本虎太郎さん(38)=同市東唐津=は長女の一椛(いちか)ちゃん(3)と訪れ「何もないところに佐用姫が現れてすごい。伝説のことが分かりやすくなる」と話していた。(松田毅)