大隈重信が関わり、日本初の鉄道が開業する際に造られた「高輪築堤」が出土した東京都港区で8日、佐賀東高演劇部が大隈をテーマにした舞台「太陽の羅針盤~陸蒸気(おかじょうき)を海に通せ~」を上演した。歴史の転換期となった明治の偉人たちの心情をみずみずしい感性で熱演し、詰めかけた観客から大きな拍手を受けた。
作品は、同部が大隈をテーマにした演劇に取り組むという劇中劇。日本初の鉄道開業や佐賀戦争、早稲田大の前身である東京専門学校開校など史実をテンポ良く紹介しつつ、大隈らの心情をどう演じるべきか悩みながら、先人たちの意思を未来につなぐために成長していく高校生を描く。
妹と観劇した会社員の伊藤璃佳さん(29)=東京都=は「演劇という形で佐賀の良い所を伝えたいという高校生たちの思いや、偉人たちの心情を考え、伝えようとする姿に感動した」と話した。
佐賀県と港区が今年3月に署名した「お台場・高輪築堤がつなぐ連携宣言」の一環で上演し、約400人が来場した。同部が東京で上演するのは初めてで、3年の部長下村結空さんは「前の席から涙ぐむ音が聞こえた。(佐賀の歴史などに)興味を持ってもらえてうれしいし、頑張ってきて本当に良かった」と声を弾ませた。(大橋諒)