大正時代の豆津橋を紹介した絵はがき(1918~33年間発行)

 佐賀県みやき町と福岡県久留米市を結ぶ豆津橋は多くの人々に利用される交通の要所ですが、この地に本格的な橋が架かったのは110年前のことでした。

 橋が架かる以前の江戸時代には、川幅のある筑後川を行き交うため久留米藩側の大石村と佐賀藩側の豆津村を結ぶ渡し船が運航されており、大石の渡しと呼ばれていました。1899(明治32)年には、船を浮かべてその上に板を敷いた舟橋と呼ばれる簡易構造の橋が架けられたといいます。

 その後、悪天候時・増水時でも安定的に通行ができるようにと本格的な橋梁(きょうりょう)が建設され、1914(大正3)年5月に豆津橋が竣工しました。この橋は、当時の金額で約2万9千円をかけて築造されたもので、木造で全長195間(約351メートル)、橋の幅は2間半(約4・5メートル)の規模があり、現在の豆津橋より135メートルほど下流に位置していました。

 また、橋が架かる筑後川は多くの船舶が通行するため、写真のように橋の中央部には通行部分が設けられていました。

 このように完成した豆津橋でしたが、木造のため橋材が腐朽し通行が危険になり、32(昭和7)年に佐賀県と福岡県の共営事業でコンクリート製の橋が建設されました。さらに、交通量の増加や老朽化を受け、93(平成5)年に現在の橋へと切り替わっています。(地域リポーター・田中健一=鳥栖市儀徳町)