非常に強い台風10号が佐賀県に接近した29日、県内全域が暴風域に入って各地で強風や大雨に見舞われた。最大瞬間風速は佐賀市で31・2メートル、唐津市で29・4メートルを観測した。台風の影響で少なくとも4人がけがをした。唐津市や鹿島市、嬉野市など7市町が避難指示を出した。佐賀地方気象台は30日にかけて引き続き「線状降水帯」が発生する恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
鹿島市で同日午前、祐徳稲荷神社の参道で80代男性が倒れているのが見つかり、死亡が確認された。強風などで転倒した可能性があり、鹿島署は台風との関連を調べている。佐賀市川副町では同日午後、牛舎の火災が発生した。周辺の電線が切れていた。
県によると、吉野ヶ里町の70代男性が路上で風にあおられて転倒し、手を骨折した。鳥栖市の70代女性は自宅で雨戸を閉めようとして1階の窓から転倒し、頭に軽いけがを負った。
県内の各消防本部によると、台風関連で6人を病院に救急搬送した。みやき町の90代女性や佐賀市の40代女性らが屋外で転倒するなどしたほか、雨漏りの修理中の転落もあった。
佐賀地方気象台によると28日の降り始めから29日午後4時までの雨量は、佐賀空港(佐賀市川副町)で133ミリ、佐賀市北山で114・5ミリだった。
県のまとめによると、避難所への避難者は29日午後7時時点で1927人。停電は唐津市や鹿島市など広範囲で発生し、最大3110戸(午後2時時点)が一時停電した。
県教育委員会によると、公立の小中高校、特別支援学校は30日も休校する。
(取材班)