石垣再築整備事業を終えた唐津城=唐津市東城内

 唐津市教育委員会は、16年間続けてきた唐津城石垣再築整備事業を昨年度に完了した。同時並行の文化財調査の全貌を伝えるイベントを9月から来年2月まで開催する。「唐津城石垣16年の解体新書」と銘打ち、築城時期が定説よりも10年以上早く、肥前名護屋城築城と同時期との新説を打ち出し、展覧会とシンポジウムをメインに毎月1回、関連イベントを実施する。

 築城から約400年が経過し、石垣に隙間やせり出しが目立ち、崩落の危険性もあることから2008年度に石垣修復に着手した。唐津の観光スポットでもあり、人が近づきやすい本丸の南半分を対象に、江戸時代の状態に戻すことをコンセプトに実施した。

 緊急性や当時は史跡に指定されていなかった側面もあって、崩れていない石垣としては全国最大規模の石垣修復となった。ただ戻すだけでなく、改善も行った。石垣の裏に敷き詰められている「栗石(ぐりいし)」は排水機能や地震時の衝撃吸収機能を持ち合わせるが、土が入り込み、目詰まりしていた。栗石の裏の盛り土に特殊シートを張り、土砂の流出を防ぐようにした。

 18年7月の大雨で東側斜面が崩れ、軟弱地盤が見つかって工事に遅れも出たが、総事業費約20億円をかけて昨年度に完了した。

 同時に行った初の文化財調査で文化財的価値が分かり、19年に市史跡となった。調査結果を伝えるイベントは、9月から半年間開催する特別展と11月のシンポジウムがメイン。9月8日の記念講座(定員80人)は、16年間調査に関わった唐津市教委生涯学習文化財課の坂井清春さんが築城の新説を解説する。

 問い合わせは同課、電話0955(72)9171。(宮﨑勝)

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