がっちり決まった腕ひしぎ十字固めで相手が畳を叩くと、主審が「一本」をコールした。連覇の重圧やけがの不安、仲間への思い。柔道女子個人78キロ超級で頂点に立った井上朋香(佐賀商)は、さまざまな感情から解き放たれ、雄たけびを挙げて喜びを爆発させた。

 昨夏、そして今春の全国大会で頂点に立ち、“絶対女王”として迎えた今大会。「日本一のプライドは捨てる。挑戦者として一つずつ確実に」と気持ちに隙はなかったが、重圧は感じていた。さらに追い打ちをかけるように、直前の金鷲旗決勝で右足首を負傷。試合に間に合うか、ぎりぎりの状況だったが「諦めたくない」と治療に専念した。